1. ホーム
  2. 犬の基礎知識
  3. ≫犬のワクチン(予防接種)は毎年打たないといけないの?

犬のワクチン(予防接種)は毎年打たないといけないの?

狂犬病の予防接種などの「ワクチン」は、病原体を弱くしたものを体内に注射して、体内の免疫機能を働かせて、病気に対する「抗体」を作るシステムです。

体内に抗体がある状態であれば、いざ本物の強い病原体が体に入った時にすぐに病原体を排除できます。そのため、ほとんどのケースで命に関わるような大きな症状にならず、犬も飼い主も気づかず治すことができます。

現在の日本では、狂犬病の予防接種は年1回が義務化されていて、狂犬病以外の混合ワクチンの摂取も年1回が推奨されています。

ただ、この「1年に1回ワクチン(予防接種)を打つ」ということに疑問をもつ飼い主は少なくありません。ワクチンを毎年打つ必要はないという本やネットの情報もあります。その意見は半分正しいですが、半分正確ではありません。

今回は、犬のワクチン(予防接種)を打つタイミング、なぜ毎年打たなければいけないか、についてご紹介します。

子犬(生まれたばかりの犬)のワクチン接種

1回目の予防接種のタイミング

生まれたばかりの犬は体に抗体がありません。そのため免疫力が非常に弱い状態で、そのままだと外部の病気にすぐに侵されてしまいます。

そのため、生まれたあとに母親の授乳(初乳)によって抗体を受け取ります。これを「移行抗体」といい、犬だけではなく全ての哺乳類で同じです。もちろん人間も同じです。

初乳から受け取る移行抗体の効果は約2ヶ月です。その後は外部の病原体に対して自分で抗体を作る必要があり、自然界ではこの時期に多くの子どもが病気にかかって死んでいきます。

犬が人に飼われるようになり、自然界ほど病気の脅威は無くなりましたが、それでも移行抗体の効果が終わってから放っておくと、病気になったり死んでしまう犬がいます。

そこで、通常は生まれてから約2ヶ月(生後8週)のタイミングで混合ワクチンを摂取します。これが1回目の予防接種をする理由です。

2回目、3回目の予防接種の理由

1回目の予防接種をした後は、2回目を1ヶ月後(生後12週)、さらに3回目を1ヶ月後(生後16週)に接種します。

生まれたばかりの犬は、体内に抗体がほとんど無い状態なので、1回のワクチン接種では十分な効果を期待できません。

そのため、短い期間でワクチンを重ね打ちすることで、抗体を着実に作らせてより高い効果を引き出します。これを「ブースター効果」や「追加免疫効果」といいます。

これが、生後4ヶ月(生後16週)という短い期間で3回も予防接種をする理由です。

3回目のワクチン接種が終わった段階で飼えるようになります。その後、1年に1回ワクチンを接種して免疫力を維持していくのが一般的です。

ワクチン(予防接種)を毎年打つ理由

なぜワクチンを1年に1回打つのか?それにも理由があります。

保守的にワクチンを打つという考え方

ワクチンの効き目には個体差がかなりあります。ワクチンがよく効く犬は3年に1回の予防接種でも問題ないとされています。ネットや書籍に「予防接種は毎年必要ない」という意見があるのはこのためです。

ですが、ワクチンが効きやすい犬もいれば効きにくい犬もいます。ワクチンの効きが弱く抗体がすぐに減ってしまう犬の場合は毎年ワクチンを打つ必要があります。

毎年ワクチンを打つというのは、効きにくい犬に合わせて保守的に万全を期すためです。

抗体の測定は費用と手間がかかる

「ワクチンがよく効く犬には予防接種のタイミングを伸ばせばいいのでは?」と思うかもしれません。確かにその通りなのですが、ワクチンの効き目が残っているかどうかの測定(抗体の測定)には費用と手間がかかります。

数ヶ月に1回測定して、病気にならない抗体数の下限値を下回りそうになったら予防接種を受けます。検査も受けずに予防接種の時期を伸ばして、抗体がなくなって病気になってしまったら元も子もありません。

つまり、抗体を検査する手間と費用と犬の負担を考えると、どんな犬でも1年に1回ワクチンの予防接種をした方が確実だし手間も費用もかからない、ということです。

もちろん、必要のない犬にワクチンを接種させることに反対意見があるのはわかります。その場合は、ある程度コストと手間をかけてこまめに抗体を測定するしかありません。

混合ワクチンは何種類がいいのか?

狂犬病の予防接種の他に「混合ワクチン」というものがあります。5種混合とか9種混合とかよく聞きますよね?現在は7種混合~9種混合が主流です。

よく「何種類のワクチンを受ければいいの?」という意見を目にします。

混合ワクチンは、種類が多ければその分たくさんの病気を防ぐことができますが、反面、ワクチンに対するアレルギーや副作用の可能性も高くなります。現在のワクチンは検査や試験もしっかりしているので副作用などはほとんどありませんが、それでも、皮膚炎や下痢など体調を崩すケースもあります。

混合ワクチンの種類についてはどれが一番いいのかというのはありません。獣医でも意見が分かれることなので、最終的には飼い主の判断次第です。

ただ、私としては、アレルギーや副作用が出ないのであれば、できるだけ多い種類の混合ワクチン(9種混合ワクチン)を接種した方がいいと思います。もし、ワクチンの種類を減らして、減らした病気にかかってしまったら絶対に後悔するからです。

混合ワクチンの種類

ワクチンの種類 ワクチン名
1 ジステンパーウイルスワクチン 5種混合ワクチン
2 アデノウイルスⅠ型ワクチン
3 アデノウイルスⅡ型ワクチン
4 パラインフルエンザウイルスワクチン
5 パルボウイルスワクチン
6 コロナウイルスワクチン 6種混合ワクチン
7 レプトスピラ病ワクチン1 7種混合ワクチン
8 レプトスピラ病ワクチン2 8種混合ワクチン
9 レプトスピラ病ワクチン3 9種混合ワクチン

ワクチン(予防接種)のタイミングのまとめ

犬のワクチン(予防接種)については、「値段が高い」「毎年打つ必要はない」という意見があるのもわかります。私も犬を飼い出した頃は疑問でした。

ですが、今回まとめたように、できるだけ手間・費用・犬への負担をかけずに犬を病気から守るという側面があります。

また、以前の記事にもまとめたように、ワクチンの収入が私たちペットとして飼う犬全体の保険になっている側面もあります。

参考狂犬病の予防接種は必要?ワクチン注射が必要な本当の理由

「ワクチンは高い!」と値段だけで拒否反応を示さずに、ぜひ上記ページのような内容も理解して判断していただけたらと思います。

こちらからシェアできます